口蓋裂
症例の概要
犬
フレンチブルドッグ
0歳2ヶ月
雄
引き取った時から口蓋裂があると言われている。濁った鼻水が出る、とのことで来院。身体検査にて両側鼻孔より膿性の鼻汁を認め、硬口蓋裂〜軟口蓋裂を認めました。
口蓋裂とは
口蓋の左右がうまく癒合せず、口腔と鼻腔が交通している状態をいいます。
厳密には二次口蓋裂といい、被裂がどこまで達しているかによりさらに分類されます。被裂が軟口蓋だけの軟口蓋裂、硬口蓋に留まる硬口蓋裂、軟口蓋および硬口蓋両方にまたがっている軟〜硬口蓋裂とがあリます。(口唇裂(一次口蓋裂)を伴うものもありますが、ここでは割愛します。)
解剖学的特徴から短頭種に多いといわれており、ボストンテリア、ペキニーズ、パグ、ブルドッグなどが挙げられます。
治療内容
手術による整復を行いました。このままだと誤嚥による肺炎のリスクもありますが、若すぎる月齢での手術も術後のトラブルを招きやすいため、手術の時期は慎重に決める必要があります。本症例は嚥下に問題はなさそうと思われ、3ヶ月齢で手術を行いました。
手術は双茎皮弁をスライドさせる方法(フォンランゲンベック法)により実施。左右の硬口蓋を歯肉の内側よりメスで切開した後、これを粘膜剥離子により骨から剥離し、それらを正中に寄せて縫い合わせるといった方法です。縫合部辺縁は剪刀で新鮮創にしてから縫います。(実際の画像を見て頂くと分かり易いと思います。)
術後は鼻炎症状も改善し、正中縫合部の離開などもなく経過は良好です。(この症例では術前術後のチューブフィーディングは行っていませんが、問題ありませんでした。)
注意!手術中の写真が表示されます